請求書をPDFにしてメールで送ると、電子帳簿保存法の電子取引にあたります。この記事では、電子取引の保存の要件を国税庁の一問一答で確かめます。そのうえで、弥生販売で保存するときの条件を、弥生の公式サイトの記載をもとにまとめます。
この記事では、国税庁の電子帳簿保存法一問一答 電子取引関係の令和8年7月版を使っています。弥生販売の情報は弥生販売 26 の公式ページのものです。どちらも2026年10月9日に確かめました。
弥生 27 シリーズは2026年10月16日に発売です。あんしん保守サポートに加入している方には、弥生販売 27 を2026年9月14日からオンラインアップデートで順次提供すると、弥生が案内しています。27 をお使いの場合は、弥生の公式サイトで改めてお確かめください。
- メールやWebで受け渡した請求書や見積書は、データのまま保存します。紙に印刷して保存するだけでは認められません。
- 保存には、改ざんを防ぐ措置と、画面ですぐ見られる状態が要ります。検索できる状態も要りますが、売上高などの条件で軽くなる場合があります。
- 弥生販売は、スマート証憑管理というクラウドのサービスで電子保存に対応しています。請求書のWeb発行と、控えをスマート証憑管理へ保存する機能は、あんしん保守サポートへの加入が条件です。
電子取引にあたるやりとり
電子取引は、注文書や請求書などに書く取引の情報を、データで受け渡す取引のことです。所得税と法人税の保存義務がある会社や個人事業者は、電子取引の情報をデータのまま保存しなければなりません。国税庁の一問一答 問1 に書かれています。
問2 は、電子取引の例として次のやりとりを挙げています。
- EDI取引
- インターネットなどによる取引
- 電子メールでの取引。添付ファイルで受け渡す場合も含みます
- ペーパーレス化したFAX機能を持つ複合機を使った取引
- Webサイトを通じて取引情報を受け渡す取引
保存する範囲は、紙で保存する場合と同じです。相手から受け取った書類と、相手に渡した書類の写しの両方が対象になります。工事の会社でいえば、得意先にメールで送った見積書や請求書のPDF、仕入先からメールで届いた請求書が当てはまります。
送った書類も受け取った書類も、データのまま保存します。問30 は、電子的に受け取ったり送付したりした請求書や領収書を、データのまま保存しなければならないと答えています。
保存の要件
問18 は、電子取引のデータを保存するときの要件を表にしています。真実性と可視性を確保するための要件です。表の中身を、改ざんを防ぐ措置、すぐ見られる状態、検索できる状態、システムの概要書の4つに分けて説明します。
改ざんを防ぐ措置
次の4つのうち、どれか1つを行います。
- タイムスタンプが付いたデータを受け取る
- 受け取ったあと、速やかにタイムスタンプを付ける
- 訂正や削除をすると記録が残るシステム、または訂正や削除ができないシステムで、受け渡しと保存をする
- 訂正や削除を防ぐための事務処理規程を定め、備え付けて、そのとおりに運用する
専用のシステムを使わない会社は、4つ目の事務処理規程を選ぶことができます。問33 には、規程の例が法人用と個人事業者用の2つ載っています。問33 は、規程の内容を、データを扱う従業員と管理者に周知することが大切だとしています。
すぐ見られる状態
パソコンのディスプレイやプリンタを備え、データを画面に出したり、速やかに印刷したりできるようにします。問20 によると、ディスプレイやプリンタの性能や台数は要件ではありません。
検索できる状態
日付、金額、取引先で探せるようにします。中身は次の節で説明します。
システムの概要書
自社で開発したプログラムで保存する場合は、システムの概要を書いた書類を備え付けます。市販のソフトやクラウドのサービスを使う場合は、この要件はかかりません。

検索の要件と
緩和される場合
問48 は、検索の要件を次の3つとしています。
- 取引年月日などの日付、取引金額、取引先を条件にして検索できる
- 日付と金額は、範囲を指定して検索できる
- 2つ以上の項目を組み合わせて検索できる
税務職員からデータのダウンロードを求められたときに応じられるようにしておけば、2と3は要りません。
さらに次のどちらかに当てはまる会社は、ダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、検索の要件がすべて要らなくなります。根拠は 問48 です。
- 基準期間の売上高が5,000万円以下である
- データを印刷した書面を、日付と取引先ごとに整理して出せるようにしている
法人の基準期間は、電子取引を行った事業年度の前々事業年度です。個人事業者は、電子取引を行った年の前々年の1月から12月です。問51 によると、ここでいう売上高には営業外収入や雑収入を含みません。消費税の課税売上高とも中身が違います。
書面の整理の方法は、問52 が3つ示しています。課税期間ごとに日付順にまとめてから取引先ごとに分ける方法、取引先ごとにまとめてから日付順に並べる方法、書類の種類ごとにどちらかの方法で整理する方法です。税務調査のときに遅れずに出せるよう、日ごろから印刷して整理しておきます。
専用のシステムが無い場合の方法も、問50 が示しています。
- 表計算ソフトで、日付、金額、取引先を入れた一覧表を作ります。範囲を指定でき、2つ以上の項目を組み合わせて絞り込めれば、検索の要件を満たします。
- ファイル名に日付、金額、取引先を同じ順で入れます。取引先ごとのフォルダに分け、ファイル名に日付と金額を入れる形でもかまいません。この方法は、ダウンロードの求めに応じられるようにしておくことが前提です。
問19 は、ファイル名の例として、2021年1月31日に株式会社霞商店から受け取った110,000円の請求書を、20210131_㈱霞商店_110000 と名付ける形を挙げています。問19 は、ファイル名とフォルダに加えて、問33 の事務処理規程を定めて運用することも手順に入れています。ファイル名で検索の要件を満たしても、改ざんを防ぐ措置は別に要ります。
検索に使う取引金額は、帳簿の税抜経理と税込経理に合わせるのが基本です。受け取ったデータに書かれている金額を使ってもかまいません。問57 に書かれています。
猶予措置の条件
令和5年12月31日までの電子取引には、宥恕措置がありました。印刷した書面だけを保存する方法も認められていました。宥恕措置は令和5年12月31日で終わっています。問89 と 問93 に書かれています。
令和6年1月1日からの電子取引には、猶予措置があります。次の2つがそろうと、保存の要件を満たさずにデータを保存できます。
- 要件どおりに保存できなかったことに相当の理由があると、税務署長が認める
- 税務調査などで求められたときに、電子データと、それを印刷した書面の両方を提示または提出できる
問89 は、印刷した書面だけを保存する方法は猶予措置では認められないとしています。電子データそのものも保存しておく必要があります。
問93 によると、相当の理由には、システムや社内の手順の整備が間に合わない場合が含まれます。猶予措置を受けるために、税務署へ事前に申請する必要はありません。
整備ができていて、要件どおりに保存できる場合もあります。資金繰りや人手不足などの理由もなく保存していなければ、猶予措置は受けられません。問94 は、事情が解消されたあとの電子取引について、要件どおりに保存できるよう準備することを求めています。
猶予措置に終わりの期限があるかどうかは、一問一答に書かれていません。
保存する期間
電子取引のデータも、紙の書類と同じく、それぞれの税法で決まった期間を保存します。問17 の表によると、法人は帳簿と書類を7年保存します。欠損金が生じた事業年度は10年です。
インボイス発行事業者として交付した適格請求書の写しと、提供したデータは、7年保存する必要があります。これは問17 の表の共通の注記にあります。
バックアップは法令上の要件ではありません。ただし、問17 は保存期間を通じて保存するためにバックアップを取ることが望ましいとしています。
弥生販売で保存するときの条件
弥生は、弥生販売 26 の公式サイトのよくある質問で、インボイス制度と電子帳簿保存法に対応していると答えています。電子保存は、スマート証憑管理というクラウドのサービスを使って行います。
スマート証憑管理は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 JIIMAの電子取引ソフト法的要件認証を取得しています。認証番号は608600-00です。国税庁の一問一答 問86 は、JIIMAが認証したソフトは電子取引データ保存の機能要件を満たしているといえる、としています。
弥生の公式ページには、使うための条件が次のように書かれています。
弥生販売では、帳票をPDFで書き出してメールに添付することもできます。公式のよくある質問に書かれている送り方です。この場合もメールでの取引なので電子取引にあたり、送ったPDFを要件どおりに保存します。保存先と方法は、上の保存の要件と検索の要件で確かめてください。
問86 には注意書きが2つあります。
- JIIMAの認証を受けたソフトでも、初期設定が機能要件を満たしていない場合や、設定を変えて満たさなくなった場合が考えられます。問86 は、マニュアルで設定を確かめることが望ましいとしています。
- 電子取引データ保存の要件には、機能以外の要件もあります。それも含めてすべての要件を満たす必要があります。
弥生販売で確かめること
- あんしん保守サポートに加入しているか。Web発行と、控えをスマート証憑管理へ保存する機能は、加入が条件です。
- 請求書をどの方法で送っているか。Web発行、PDFをメールに添付、紙の郵送のどれかを、得意先ごとに確かめます。
- Web発行以外で送ったPDFと、仕入先から受け取ったPDFを、どこに保存しているか。保存の要件と検索の要件を満たしているかを確かめます。
- スマート証憑管理の設定が、マニュアルどおりに機能要件を満たしているか。問86 が勧めている確認です。
- 機能以外の要件をそろえているか。事務処理規程で改ざんを防ぐ場合は、規程を定めて周知しているかを確かめます。

電工販管では、見積書、請求書、納品書、領収書を発行すると、その時点の内容を控えとして保存します。あとで伝票を直しても、控えは変わりません。控えは、取引先、日付の範囲、金額の範囲で検索できます。電子取引の保存の要件をすべて満たすには、機能のほかに事務処理規程などの準備も要ります。電工販管から請求書をメールや共有リンクで送る場合も、電子取引にあたります。
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販売管理のソフトを替えると、電子取引のデータの保存先も替わることがあります。国税庁の一問一答には、システムを替えるときの問いがあります。
問95 は、要件どおりに保存できていた会社が、特別な事情もなくシステムを替えて検索の要件を満たせなくなった場合を取り上げています。この場合は相当の理由と認められず、猶予措置は受けられないと答えています。新しいシステムでも、検索の要件を満たせるかを先に確かめてください。
問102 は、保存しているデータを新しいシステムへ移すときの措置を説明しています。移すあいだも改ざんを防ぐ措置が必要です。タイムスタンプを引き継げない場合でも、移行のときの訂正や削除を防ぐ事務処理規程を定めて運用すれば、要件を満たすとしています。
前のシステムで要件をどう満たしていたかも、説明できるようにしておきます。問102 は、その例として前のシステムの取扱説明書を保存しておくことを挙げ、望ましいとしています。
弥生販売のデータごとの移し方は、別の記事にまとめています。弥生販売のデータの移し方
よくある質問
出典
この記事は、次の資料を2026年10月9日に確かめて書いています。
- 国税庁 電子帳簿保存法一問一答 電子取引関係 令和8年7月
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0026007-006_05.pdf - 国税庁 各種規程等のサンプル
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm - 国税庁 電子取引関係 特設ページ
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/01.htm - 弥生 弥生販売 26 製品ページ
https://www.yayoi-kk.co.jp/hambai/ - 弥生 弥生販売 26 請求の機能ページ
https://www.yayoi-kk.co.jp/hambai/function/bill/ - 弥生 弥生 27 シリーズ発売のプレスリリース 2026年8月3日発表
https://www.yayoi-kk.co.jp/company/pressrelease/detail.20260803/ - 弥生 あんしん保守サポートご加入中のお客さまへ 最新製品 弥生 27 シリーズご提供のお知らせ 2026年9月11日更新
https://www.yayoi-kk.co.jp/yss/info/detail.20260803-2/


