
工事の4つの場面
- 適格請求書の記載事項は6つです。国税庁の Q&A 問54 に、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの合計と税率、税率ごとの消費税額、宛名が挙がっています。
- 問57 によると、消費税額の端数処理は、1枚の請求書につき税率ごとに1回です。明細の行ごとに丸めて足すことは認められていません。
- 問35 では、値増金は最初の請求書とは別の請求書で出すとされています。出精値引きは問70、振込手数料は問28 と問29、誤りの修正は問32 に扱いがあります。
記載事項は6つ
国税庁の Q&A 問54 に書かれている適格請求書の記載事項は、次の6つです。
問54 の注によると、登録番号の無い請求書は、適格請求書ではなく区分記載請求書等として扱われます。
問25 では、書類の名前や様式は法令で決まっていないと説明されています。請求書でも納品書でも、6つの事項が書かれていれば適格請求書になります。
1枚の書類で6つを満たさなくてもかまいません。請求書に納品書の番号を書くなど、書類どうしのつながりがはっきりしていれば、複数の書類を合わせて記載事項を満たせます。この考え方は問67 にあります。
電子メールで渡す請求書の電子データにも、紙と同じ6つの事項を記録する必要があります。問64 に、記録する中身が挙がっています。
消費税額の端数処理
問57 によると、消費税額に1円未満の端数が出たら、1枚の請求書につき、税率ごとに1回だけ端数を処理します。切上げ、切捨て、四捨五入のどれを選んでもかまいません。
明細の行ごとに税額を出して丸め、それを足して請求書の税額にすることは認められていません。
一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません。
明細3行の税額の端数を切り捨てる
いくつかの現場の工事を1枚の請求書にまとめる場合は、問66 に扱いが書かれています。契約ごとの金額を請求書の中で合計し、その合計から税額を1回計算します。契約ごとの税額を参考として書くことはできますが、記載事項としての税額にはなりません。
問67 によると、納品書に税額を書き、請求書と合わせて記載事項を満たす形もあります。このときは納品書ごとに、税率ごとに1回の端数処理をします。端数処理は、税額を書いた書類ごとに行います。
工事で出てくる4つの場面
国税庁の Q&A には、工事の請求に当てはまる問がいくつかあります。ここでは4つを取り上げます。
値増金は
別の請求書で出す
建設工事の請負契約にともなう値増金は、相手との協議で金額が決まった日の課税期間の課税標準額に入れます。そのため、最初に渡した適格請求書とは別に、値増金の適格請求書を出します。
別の請求書の税率ごとの合計額と消費税額は、値増金の金額をもとに書きます。
工事進行基準でも
引渡しのときに出す
工事進行基準で、引渡しより前に売上を計上した部分には、適格請求書を出す必要がありません。
ただし、出す義務が無くなるわけではありません。工事が完成して引き渡すときに、相手が課税事業者で求めがあれば、適格請求書を出します。
出精値引きは
値引きの時期で分かれる
請求の合計の端数を引く出精値引きは、値引きの時期で扱いが分かれます。すでに済んだ取引への値引きなら、売上に係る対価の返還等として扱います。これからの取引の値引きなら、対価の額から直接引きます。どちらか区別しにくいときは、どちらで処理してもかまいません。
対価の返還等として扱う場合、適格返還請求書の記載事項が要ります。適格請求書と同じ1枚の書類にまとめて書くこともできます。
問70 の例は卸売の会社ですが、請求全体の端数を引くときの扱いです。
振込手数料を引かれて
入金されたとき
元請けや施主が振込手数料を差し引いて払うことがあります。これを売上値引きとして扱うなら、本来は適格返還請求書が要ります。ただし、返還や値引きの金額が税込1万円未満なら、出す義務が免除されます。
1万円未満かどうかは、値引きの対象になった請求や債権の単位ごとに、減らした金額で判定します。問28 の例では、500,000円の請求から440円を引いて499,560円が入金された場合、出す義務は免除されます。
振込手数料を、相手から受けた支払いの便宜の対価として扱う方法もあります。この場合は値引きではなく仕入になり、相手から受け取る適格請求書の保存が要ります。どちらで扱うかは、相手との契約で決まります。問29 には、この2つの扱いが両方書かれています。
このほかに、共同企業体の請求は問50 に、下請への支払いに使う出来高検収書は問97 に扱いがあります。共同企業体では、組合員の全員が適格請求書発行事業者で、届出書を出した場合に限り、適格請求書を出せます。出来高検収書は、仕入明細書等の記載事項を満たす必要があります。
誤りの修正と写しの保存
問32 によると、渡した適格請求書に誤りがあったら、修正した適格請求書を相手に渡さなければなりません。電子データで渡した場合も同じです。
ただし、相手が誤りを直した仕入明細書を作り、こちらが確認した場合は、修正したものを改めて渡さなくてもかまいません。
問33 には、修正の渡し方の例が2つ挙がっています。
- 誤りを直し、記載事項をすべて書き直したものを渡す方法
- 最初に渡したものとのつながりをはっきりさせ、直した事項を示したものを渡す方法
渡した適格請求書の写しと、電子データで渡したものの記録には、保存の義務があります。問79 によると、保存の期間は7年です。数え始めは、渡した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日です。
電工販管の請求書での扱い
ここまでの点を、電工販管.COM の請求書でどう扱っているかをまとめます。要件を満たしているかは、顧問の税理士に確かめてください。
- 会社の設定に登録番号を入れると、請求書の発行者の欄に印字します。登録番号は T と13桁の形かどうかを確かめてから保存します。
- 税率は、標準の10%と軽減税率の8%を扱います。商品台帳で品目ごとに税率を決めておくと、明細にその品目を入れたときに税率が決まります。請求書の内訳の欄には、税率ごとの対象の合計と消費税額を分けて印字し、軽減税率の明細には※を付けます。
- 売上伝票から請求書を作るとき、消費税額は請求書ごとに、税率ごとの対象の合計に対して1回だけ端数を切り捨てて計算します。明細の行ごとには丸めません。
- 値引きは、課税の明細で入れれば、その明細の税率の対象の合計に含まれ、税額も下がります。補助金の充当のように非課税や対象外の区分で入れた行は、税率ごとの対象の合計とは分けて合計の欄に出します。
- 値増金のように後から決まった金額は、別の売上伝票にすれば、その伝票だけで請求書を作れます。
- 振込手数料を引かれた入金は、差額を1回の操作で消し込めます。値引きとするか仕入とするかの会計の扱いは、お客様の側で決めていただきます。
- 請求書を直すときは、取り消して作り直します。入金を記録したあとの請求書は、先に入金を取り消してから作り直します。
- 控えを発行する前なら、同じ番号のまま作り直せます。控えを発行したあとの請求書は、別の番号の請求書として出し直します。元の控えはそのまま残ります。
- 発行した書類の控えは、取引先の名前や番号のキーワード、日付の範囲、金額の範囲、種別で探せます。キーワードの欄は1つで、取引先の名前と番号の両方を探します。
- 解約したあとは、90日のあいだ閲覧だけできる状態でデータを保持します。この間も、代表と管理者の方がデータをCSVで書き出せます。7年の保存はお客様の側で続けていただく必要があります。データの扱いにまとめています。
出典
- 国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問25 令和6年4月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問28 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問29 令和8年4月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問32 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問33 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問35 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問40 令和7年4月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問50 令和8年4月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問54 令和6年4月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問57 令和6年4月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問64 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問66 令和6年4月追加 確認日 2026年10月9日
- 同 問67 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問70 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問79 令和5年10月改訂 確認日 2026年10月9日
- 同 問97 令和8年4月改訂 確認日 2026年10月9日
- 国税庁 インボイス Q&A 目次 確認日 2026年10月9日
